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2015.03.21学会・イベントなど参加レポート

2015年3月20日に開催された「第2回 日本黒酢研究会」に参加

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日本黒酢研究会の第2回学術集会が昨日開催され、漢方サント薬局から山浦卓も参加して来ましたのでレポートしておきます。


第1回学術集会の模様はこちらにありました。(別窓表示)
〜第2回学術研究会〜
日時:2015年3月20日(金)13:00〜16:45
会場:早稲田大学 日本橋キャンパス 大ホール(コレド日本橋5階)

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時間にゆとりを持って会場に着くと、大ホールはすでに人がいっぱい。黒酢ってやっぱり人気あるんですねー。
 
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早稲田大学研究院 教授で、日本黒酢研究会会長の矢澤一良先生が開会の宣言を。この時矢澤先生が仰られた「食による予防医学」という言葉は、今後の私達の仕事に大きな意味を投げかけています。
 
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それにしても早稲田大学のキャンパスが、まさか東海道起点の新名所、コレド日本橋の5Fにあるだなんて!
 
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登壇トップバッターは京都大学名誉教授・福井県立大学名誉教授の大東肇先生。

演題は「機能性食品は地方食(伝統食)からー期待される黒酢の健康効果」。座長は鹿児島大学共同獣医学部准教授の叶内宏明先生。

機能性食品(科学)研究開発の歴史や、黒酢をはじめとする「食」の可能性、評価の仕方などを丁寧に説明してくださりました。


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続いて北海道大学大学院薬学研究院准教授の柴山良彦先生のお話。「壺つくり黒酢と脂肪肝ー高脂肪食による脂肪肝発生への長期投与による効果ー」。座長は鹿児島大学農学部教授の候徳興先生。


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マウスに2年間黒酢を投与したところ、以下の項目が示唆されたとのことです。

  1. 黒酢特有成分は高脂肪食に伴う脂肪肝の発生を抑制する
  2. 老化の指標の一つであるDHEA-Sの低下を抑制する
  3. 壮年期の高脂肪食に伴う体重増加を抑制する
  4. 高齢期の体重減少を抑制する

4.は意外に感じますが、実は高齢者の場合所謂「痩せ」よりも「小太り」くらいの方が健康状態を保ちやすいそうで、黒酢が用いる年齢層に従い、健康に向かって良い方向に働くということを示しているように思いました。
 
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3番手、東海大学医学部生体構造機能学講座の軣木喜久江先生の演題は「黒酢と黒酢もろみ末の治療効果ー腸炎モデルとがんモデルを用いてー」。座長は前出の柴山良彦先生。

この報告、個人的に非常に興味深く拝聴しました。黒酢や黒酢もろみ末には活性ペプチドを含む生理活性物質を含まれており、他の酢には無い優れた効能をもっていることが想定されている。

今回はその効果を黒酢と黒酢もろみ末に分けて動物実験モデルにより治療効果を明確にし、さらに人への臨床応用を目指していると言います。

  1. 高分子デキストラン硫酸誘発大腸炎実験動物モデル
  2. ヒト大腸がん細胞移植実験動物モデル

を利用して検討されたところ、大腸炎モデルに対する効果は黒酢の方が黒酢もろみ末よりも大きかったので酢酸による効果も比較検討したところ酢酸による大腸炎抑制作用は認められなかったことから、黒酢による抗大腸炎作用については、酢酸以外の可溶成分が関与していることを推測。

ゲルろ過により各分画を検討したが、各分画にはペプチドなどあまりにも数多の成分が混在しており、有効成分の同定までは辿り着けなかった。

また大腸がんモデルに対する効果は逆に、黒酢もろみ末の方が黒酢よりも大きいという結果が出ています。この実験では黒酢による大腸がん細胞の増殖、ならびに腫瘍中Matrix metalloproteinase(MMP)に及ぼす影響について検討されています。

結果として、黒酢もろみ末でLoVo株の有意な増殖抑制効果が認められ、また黒酢もろみ末でLoVo腫瘍細胞におけるアポトーシスの程度はコントロールと比較して差が見られなかったが、腫瘍中MMP-2、MMP-9の値はそれぞれ有意に低下した。

つまり腫瘍中MMPの抑制作用が黒酢もろみ末の抗腫瘍効果の機序の一つであることが示唆されたのです。

がん患者、高齢化で「大腸」1位に…15年予測

国立がん研究センターは、2015年に新たにがんになる患者数が、14年より約10万人増え98万2100人になると推計し、28日発表した。

種類別にみると、これまで3位だった大腸がんが、胃がん、肺がんを抜いて1位になり、肺がんは2位にとどまると予測した。男性に限ると、前立腺がんの患者が最多になるとした。

(2015年04月29日 読売新聞)

 
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次は九州大学大学院薬学研究院 創薬育薬産学官連携分野の准教授、浜瀬健司先生の演題。「黒酢および各種発酵食品・飲料におけるキラルアミノ酸メタボローム解析」について。座長は前出の軣木喜久江先生。

キラル中心を有したアミノ酸(鏡像異性体が存在する)について、長らくヒトを含めた高等動物体内のアミノ酸はL体のみであり、D体は少なくとも機能分子として存在しないと考えられてきたが、1980年代後半からD-セリンが脳内学習・運動記憶の効率的獲得に必須であることや、D-アスパラギン酸が内分泌組織においてホルモンの分泌を制御していることなどが明らかにされており、今やL体だけでなくD体を無視することが出来ません。

一方、生体試料や発酵食品、飲料など天然由来の実試料中には多種多様のアミノ化合物、ペプチド等が含まれていて、正確な分析・解析が極めて困難です。ましてや全てのキラルアミノ酸について定量解析を行うメタボロミクスにおいては高い分離能を実現する装置が不可欠であるにも関わらずこれが見当たらない。そこで浜瀬先生のチームはこれを可能にするキラル二次元HPLCを開発し、これを用いて各種発酵食品のキラルアミノ酸分析をされました。

結果、熟成した黒酢にはD-セリン、D-アスパラギン酸。D-グルタミン酸、D-アラニン、D-アロイソロイシン、D-ロイシンの存在が認められ、しかもその含量が発酵過程で変化することが明らかになったのだそうです。

私見ですが、一般的な酢(速成酢)に目立つ生理機能があまりないことに対して、長期熟成醗酵の壺づくり米黒酢では様々な生理作用が認められている所以が実はここにあるのではないかと感じました。

浜瀬先生によれば黒酢の原料中にはD-アミノ酸が皆無であるそうなので、発酵途中で微生物がL体をD体へと変化させているのではないかと思うのです。
 
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株式会社えがお 研究開発部の松本祥幸氏の発表は「黒酢摂取がラットの代謝に与える影響」。座長は前出の浜瀬健司先生。

過去に報告されている、黒酢による脂肪細胞の縮小・脂肪代謝促進などのエネルギー代謝促進についての作用機序を検討することを目的にされています。

結論として黒酢の飲用は運動による代謝を促進しメタボリックシンドロームや肥満者の健康増進に大きく貢献することを予測。さらに筋タンパクの合成を増加させて筋肥大を起こし、筋持久力が増加することから体力そのものが増強し、QOLの上昇も期待できると結ばれました。
 
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休憩時間。大変お世話になっている坂元醸造株式会社の坂元昭宏社長と長野正信専務と記念にパチリ。
 
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後半戦は、「黒酢などの伝統食品と機能性表示」についてパネルディスカッション。座長は前出の矢澤一良教授。

パネラーは4名。

  • (概要説明)株式会社グローバルニュートリショングループ 武田猛先生
  • (臨床医の視点から)東海大学医学部教授・慶応義塾大学大学院 特任教授 久保明先生
  • (食品学の立場から)九州大学大学院 農学研究院 准教授 佐藤匡央先生
  • (企業の立場から)株式会社えがお 研究開発部 医学博士 濱舘直史先生

ここのところ食品業界を騒がしくしている話題の「食品の機能性表示」。

国が制度化するもののリリース後の国の関与はほとんど無い、または不明瞭。「企業責任」を非常に強く求められそうだという。当然賛否両論ありますが間もなく4月から施行されます。

参入ハードルも決して低くないので、大企業でさえも安易には飛びつけないような印象です。消費者の為になりますかどうか。

学会に参加して

今年は懇親会にも参加しました。小規模の学会ならではの親密度で幸運にも上で講演・登壇された高名な先生方と直に歓談させていただくことができました。ハイレベルなご高察ばかりで恐縮しましたが、貴重な時間は文字通り私の「糧」となりました。

今後も市井の薬局で黒酢の素晴らしさを消費者に直接伝導する人間として、学者が検証した科学的根拠や有益な情報を素人でも理解できるよう分かりやすく伝えて参ります。

ところで、毎日お客様にくろずの説明をしたり、オフでは仲間との食事や宴会の席でも気が付くと黒酢の話をしてしまう私ですが昨日ばかりは、自分以外のあまりにも多くの人達が「黒酢、黒酢」と声高にしているシチュエーションに大変新鮮な感覚を覚えました。

自分もあんな風に熱く語れているのだろうか?と…(笑

くろずについてはこちらの記事も参考にしてください。

その他の論文などは、こちらもご一覧ください



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