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2012.02.23Tips(ヒント)あれこれ

壺づくり天然米酢が「くろず(黒酢)」と命名された由来

名前の由来が判明している稀有な食品

「醤油」「味噌」「マヨネーズ」・・・これらはいつからこの名前で呼ばれているのでしょうか?

食べ物の世界で、その名前がついた時期や由来が判明している食品・食材は、多くありません。しかしその中で、名前の由来がハッキリと分かっている食品の一つが、1975年(昭和50年)に命名された、壺づくり米酢「くろず(黒酢)」です。

今回は、黒酢の歴史そのものを記しながら順を追ってみましょう。

 

草創期〜不遇の時代

創業 1800年頃(江戸時代後期)

鹿児島県姶良郡福山町字大浦にて、壺づくり米酢の製造を始める。

太平洋戦争前、最盛期には24軒もの醸造所があったが、大戦前後に原材料が途絶えた事と安価な合成酢の台頭で、ほとんどの業者が転業を余儀なくされている中、坂元醸造の4代目・坂元海蔵氏がただ一人、その伝統製造技術を守り続ける。

 

健康効果が知れ渡り、全国区へ

1966年(昭和41年)

坂元醸造5代目・坂元昭夫氏が国立鹿児島病院に隣接して薬局を開業し、坂元海蔵氏の米酢の販売を開始。その後、国立病院の患者に米酢の飲用を勧めたところ、大変好評だったため、本格的に米酢の研究を始めると共に増産体制を整えていく。

1975年(昭和50年)

伝統製法で造られる壺づくり米酢を「くろず(黒酢)」と命名し、全国発売する。

昭和48年10月に近畿大学に開設された東洋医学研究所の初代研究所所長、有地滋教授は当時伸び続けていた日本人の平均寿命に着目し、その理由が第二次世界大戦以前に生まれて粗食で育った人達が高齢になったものと捉え、いずれ大戦後に生まれて食の欧米化を経験した日本人が増えると、逆に平均寿命が短くなるのではないかと危惧しました。

そこで戦前の日本人が食べていた『真に健康に良い食材』を厳選し、後世に伝えて行くことを目的とした研究を開始されたのですが、この時教授は、後世に残したい食材の第一号に『坂元醸造の壺造り天然米酢』を選ばれました。

その2年後の昭和50年10月、有地滋教授を含めた8名の研究員(全員が近畿大学医学部の医師)と、坂元昭夫氏は大阪の千里阪急ホテルで夕食をとっていました。

歓談中、有地滋教授から「我々が『壺造り天然米酢』の研究を始めて丸2年が過ぎ、ほとんど全ての生活習慣病の予防および治療に有効であることが実証されてきた。

せっかく研究者が集まっているので、皆でよい名前を命名しようじゃないか?」という提案が出されると、これに坂元氏が「弊社の『壺造り天然米酢』は熟成させるほど色が黒くなります」と説明したところ、有地教授夫人(女医)から「『黒酢』という名前は如何ですか」との声が上がり、その場にいた全員一致で賛成し採用が決定しました。

この瞬間に「くろず(黒酢)」という名前が誕生したのです。(肩書は当時のもの)
※ここで坂元昭夫氏が「黒酢」の商標を取らなかった事は氏の商売っ気の無さを物語るには十分なエピソードです。

 

医学的根拠や、科学的な裏付けが続々と

1981年(昭和56年)

JAS(日本農林規格)認定工場として認定される。

1988年(昭和63年)

サント薬局にて、坂元のくろず(赤箱1,000ml)が採用される。

1991年(平成3年)

農林水産省の提唱した「ふるさと認定食品マーク(Eマーク)制度」において、壺づくり黒酢が全国第1号として認証される。(=品質と信頼の証)

1996年(平成8年)

農林水産省より、坂元醸造が「食品産業優良企業賞」を受賞する。

2006年(平成18年)

・鹿児島の壺づくり黒酢が、財団法人食品産業センターが提唱する全国ブランド「本場の本物」の第1回認定商品として選ばれる。
・社団法人鹿児島県食品衛生協会より、福山工場が食品衛生優良施設として「鹿児島県知事表彰」を受ける。
・福山工場が、ISO9001:2000認証を取得。
・横浜漢方サント薬局の専売品食創科学・坂元のくろず(1年醗酵熟成・赤箱)を発売。生理機能が確認された熟成濃度。

2008年(平成20年)

福山工場が、JUSE-HACCP認証を取得。

2015年(平成27年)

特産品の地理的表示(GIマーク)を取得。⇛ 特産品の地理的表示(GIマーク)、6月導入を農水省が決定。
GI-mark

現在

現在も、坂元醸造はくろずの伝統製法を頑なに守り続けており、環境保護が叫ばれる今日では、環境に優しいスローフードとして注目を集めており、引き続き、くろずについて数多くの公的機関や大学等と共同研究を積極的に行い、医学・薬学・農学的見地から様々な研究結果を報告しています。

「くろず(黒酢)」という名前は一般名として、広く知れ渡っていることはご存知の通り。また坂元昭夫氏は後日、次のようなことを語っています。

健康な未来のために

黒酢と名前をつけた後、多くの大学病院や研究所での「黒酢」の研究が進み、当時私が考えたよりも多くの素晴らしいデータが発表され、現在もなお研究が続けられています。
私が有地滋教授に初めてお目に掛かった時、教授がおっしゃられた事が、現に沖縄県で起こりつつあります。沖縄県はかつては男性、女性ともに日本1位(すなわち世界で1位)の長寿県でした。
ところが2010年の報告では、男性が日本国内26位に低下し、その原因はアメリカナイズされた食事と、自動車にばかり乗り、歩行距離が著しく減ったためとの発表がありました。

坂元醸造株式会社 代表取締役会長 坂元昭夫

私は坂元昭夫氏と長らくお仕事をさせて頂いておりますが、初対面で受けた印象は物静かで、非常に温和な好々爺です。

しかし不遇の時代を経験された先代から「継ぐな」とまで言われた家業を、反対を押し切ってまで継いで盛り返し、更に地元への多大な貢献までされているお姿と情熱はまさに「薩摩隼人」そのもの。私が心から尊敬する英雄の一人です。

出典:坂元のくろずのすすめ 〜あなたの美と健康のために〜

資料および画像提供、協力:坂元醸造株式会社

 

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