2013.07.29>黒酢ワイン
血管の老化を防いで高血圧を改善すると多くの研究が裏付けた飲み物
坂元のくろず(1年醗酵熟成・赤箱)が赤ワインとの相性が良いので、普段から食生活に取り入れると良いということは、私の師匠である昭和大学保健医療学部元教授の中山貞男先生が以前、教えて下さいました。
黒酢はナトリウムを排泄し血圧を下げる
正確にいうと、高血圧というのは病気ではありません。血圧が高いという状態なのです。したがって血圧が高いというだけならそれほど問題はないのですが、この状態を放置しておくと、やがて血管をいためてしまうから問題なのです。
血圧が高いと動脈硬化が進みやすくなります。しかも、動脈硬化が進むと血管が硬くなり、さらに血圧は高くなります。こうなると、今度は血液がかたまりやすくなり、血栓(血管内にできる血液のかたまり)ができて血管を詰まらせ、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気を引き起こすのです。
高血圧が”サイレントキラー(静かな殺し屋)”などと呼ばれておそれられるのも、じわじわと血管をいためつけて、ある日突然、私たちの命を奪うかもしれないからだといえます。
こっそりと私たちをねらう高血圧から身を守るには、日ごろから注意しておくしか手はありません。
そこでおすすめしたいのが、天然醸造の米黒酢である、坂元のくろず(1年醗酵熟成・赤箱)と、赤ワインをまぜて作る飲み物、黒酢ワインです(基本的な作り方はこちら)。
黒酢ワインには、血管を守る成分や血圧を正常にする成分が充満していて、毎日飲めば、さすがのサイレントキラーも逃げ出してしまうでしょう。
この黒酢ワインの威力を証明するために、黒酢の薬効からご紹介しましょう。
まず、黒酢には脂質の代謝を促して、動脈硬化を防ぐ働きのあることが、九州大学医学部健康科学センターの藤野武彦助教授によって確かめられています。実際に九州大学附属病院の患者さんに黒酢を飲んでもらい、効果を証明したものです。
次に、愛媛大学医学部の奥田拓道教授は、ほうっておくと自然に血圧が高くなってしまうラット(実験用のネズミ)を使って、黒酢の血圧を下げる効果を確認しています。内容は黒酢を与えなかったグループのラットの血圧が、実験開始後数時間で上昇したのに対して、黒酢を与えたグループのラットの血圧は、逆に実験開始当時よりも低下していたというものでした。
どうして血圧が下がるのでしょうか。われわれの血圧は、アンジオテンシン変換酵素という酵素の一種と大きな関係をもっています。話が少し難しくなるので、アンジオテンシン変換酵素が体内で活躍すると、血管が収縮して血圧が上昇すると考えて頂ければ良いでしょう。そして、奥田教授の実験により、黒酢がこのアンジオテンシン変換酵素の働きを抑えて、血圧を下げることが分かりました。
一方、血圧を上昇させる原因としては、食塩の主成分であるナトリウムが有名です。血液中にナトリウムが増えると、その濃度を一定にしようとして血液の量が増えます。すると血管に圧力がかかって血圧が上がるのです。私は黒酢が腎臓の働きを高めて、ナトリウムを排泄させる効果のあることを動物実験で明らかにしました。
この点でも黒酢は高血圧の予防・改善に効果があるのです。
「百薬の長」どころではない
では、黒酢ワインに使う赤ワインの方はどうでしょうか。赤ワインに多く含まれるポリフェノールという成分には、動脈硬化を予防する抗酸化作用のあることがわかり、いまや世界的な脚光を浴びています。このポリフェノールとは色素成分で、アルコール飲料のなかでは赤ワインが抜群に豊富なのだそうです。
そして、動脈硬化の原因はコレステロールの酸化であることがわかり、それを抑える抗酸化物質は、血管の老化を防ぐとして注目されているのです。
コレステロールが酸化してできる過酸化脂質は、血管を硬くして動脈硬化を起こし、結果的に血圧を上げていきます。この過酸化脂質ができにくくしてくれるのがポリフェノールだったわけですが、実をいうと黒酢にも同じ効果があることが判明しました。
したがって黒酢ワインは、過酸化脂質を退治する二重の効果があり、血管の老化防止に大いに役立ちます。さらに、適度なアルコールは毛細血管を拡張させて、血圧を下げる効果のあることもつけ加えておきましょう。
しかし、だからといって、黒酢ワインが血圧を下げすぎるということはありません。むしろ血液循環が活発になりますから、血圧の低い人には血圧を上げるように働くと考えた方が良いでしょう。
いくら効果があるといっても黒酢ワインは食品です。厳密にアルコールを制限しているような人や、とくにアルコールに弱い人でなければ、健康法としてコップ一杯を飲むぐらいなら、害になるようなことはいっさいありません。
「酒は百薬の長」などとよくいいます。しかし、同じアルコール飲料でも、薬効のかたまりである黒酢ワインは、百薬どころか「千薬の長」といったほうがピッタリでしょう。
※「安心」(マキノ出版)1997年2月号特集より抜粋引用
※研究者の肩書は当時のもの
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