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2015.11.10ブログで一問一答

玄米食と生卵に共通する、うっかり見落としがちな注意点

この「ブログで一問一答」カテゴリは、読者の皆様からご応募いただいた質問内容に山浦卓がサクサクと回答していく企画です。

今回は、店頭でもときどき尋ねられる質問について。

 

「玄米食は、結局健康に良いの?」

この質問にはいつも、次の話をしています。

私の父は大学の薬学部を卒業後、ある製薬メーカーの大学病院担当のプロパー(今で言うMR(medical representative)=製薬会社の医薬情報担当者)として仕事をしていました。

毎日、医師や医療従事者を相手に、自社の医療用医薬品についての効能や用法用量はもちろん、保険適応の範囲から薬効が現れる作用機序(メカニズム)など、少々込み入った説明をする業務です。

父は努力して得た当時最先端の医学・薬学の知識を武器に、生来の商人気質も発揮して競合他社のプロパーからも一目置かれるほど抜群の営業成績を誇っていました。

丁度その頃、九州に残した両親(私の祖父母)は二人とも大病を患い、長らく病床に伏せていました。

ある時、父がたまたま休暇をとり帰省した際のこと。

祖母の点滴・流動食から普通食に復帰できるようになったタイミングだったらしく、「元気のないときは卵だ。卵を沢山食べさせて栄養をつけてやろう!」と、自らも体調思わしくない祖父が懸命に祖母を気遣い励ます声を微笑ましく聞いたといいます。

 

父が迂闊にも見逃したポイント

しかしその後、大変残念な事態に。

病床に運ばれた贅沢な御膳と祖父の気遣いに目を細めながら、祖母はゆっくり時間をかけて食事を済ませたのですが、しばらくして彼女はお腹を下しました。

その後も下痢が治まらず辛そうにする祖母の姿に、卵を勧めた罪悪感から困惑・動揺している祖父の背中を見て、若かりし父は大きな後悔を痛感するのです。

『胃腸も丈夫で元気な人ならば栄養価の高い卵を食べて何ら問題が無くても、体力が著しく落ちた重病人がいきなり、生も含む卵料理を食べれば下痢をするに決まっている。

自分は普段、持てる知識を存分に使い自信満々で薬を売る仕事をしているというのに、迂闊にも当たり前の事に気づくことが出来ず母親の下痢を予防することが出来なかった…… 』

「卵には栄養がある」からといって、「卵が栄養になる」とは限らない。

そんな常識にこの時初めて、しかも衝撃的に気づかされたと、父は後年私に話してくれました。

 

玄米食の話もこれに通じる

ざっくり書けば、白米と比べてビタミン・ミネラルは2〜5倍、食物繊維は約8倍も豊富に含まれている玄米ですが、上述の祖母のように極端に咀嚼機能や胃腸の消化機能が落ちた人にとっては、内臓に大きな負担をかけるだけの食材となります。

硬い食物繊維が過剰だと、胃炎や潰瘍性大腸炎など消化管の粘膜が弱っている場合には、粘膜自体に傷をつけてしまう可能性すらあるのです。

子供の頃から何度も聞かされた『祖母と卵のエピソード』は、何か食材や成分について耳心地のよい情報が入った時には、その品物自体の良し悪しだけでなく摂取する人の健康状態や体質の確認を忘れてはいけないという教訓として私の頭にインプットされたのでした。

 

参考記事

 

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