2016.03.17ブログで一問一答
不安定な葉緑素のマグネシウムを銅に置換することで承認された医薬品が60年以上も愛されている理由
この「ブログで一問一答」カテゴリは、読者の皆様からご応募いただいた質問に、ブログ記事として山浦卓が回答していく企画です。
Q. クマザサ原形質液「サンクロン」に含まれている成分についての質問
サンクロンには添加物である銅クロロフィリンNaが含まれていま
多花さん(54歳・女性)
A.
多花さん、ブログで一問一答にご応募くださり、ありがとうございます。
ご心配されるといけませんので結論からいきますが、この回答は「大丈夫」です。全く問題ありません。
今回はどうしても少々理屈っぽくなってしまいますがお許し下さいね。
植物体のクロロフィル(葉緑素)のはたらき
クロロフィルは葉緑素ともよばれ、植物が光合成をする際に光エネルギーを吸収する役割を担っています。
一方、動物は自然界の簡単な無機物質から物質合成を行うことが出来ないので、クロロフィルによって合成された物質は、動物の生育に必要不可欠な糧となります。
自然界で存在しているクロロフィルは図1のような化学構造式で表されます。
図1
植物体の中では一般にテトラピロール環の中心に、金属マグネシウムと結合して存在しており、このマグネシウムを核としたクロロフィルは植物が生育している場合は安定しているのですが、採取後水分が蒸発・飛散すると容易に分解してしまいます。
このためクロロフィルを安定化させるためには、マグネシウムを他の金属に置換する必要がありました。
図2
置換する金属の中で最も安定しているのは上図の通り、銅であることが分かっていたことと、天然クロロフィルの色調に最も近い色であることから、天然クロロフィル核の金属置換には銅が最も適しているのです。
医薬品に使われているクロロフィルは、銅クロロフィリンナトリウムがほとんどであり、食品衛生法の添加物も銅クロロフィリンナトリウムのみが認められていることからも分かります。
薬草を1種類だけしか用いていない製品が医薬品として認められることは大変めずらしい
株式会社サンクロンは、クマザサに含まれるクロロフィルの金属マグネシウムを銅に置換した銅クロロフィリンナトリウムにする技術を本邦で最初に確立しました。
この技術を基にクマザサを原料とした医薬品の承認を受けたのが昭和29年(1954年)でした。
メーカーの公表によると、サンクロン20ml中には鉄0.11mg、亜鉛0.036g、銅14.4mg、マンガン0.003mgがそれぞれ含まれています。
これを見ると、銅が多いように思われますが、体内に吸収された場合、銅クロロフィリンナトリウム分子の銅は容易には遊離せず、3%以下とされており、生体維持に必要な量の銅のみが遊離するので、上の数値は全く問題にならないと考えられています。
サンクロンに含まれる銅クロロフィリンナトリウムの効能が、疲労回復、食欲不振、体臭・口臭除去、口内炎、歯槽膿漏に発揮されているのは、分子が容易に分解しないためです。
尾籠な話ですが、サンクロンの服用後、便が緑色になることがあります。これはまさに銅クロロフィリンナトリウムの全てが遊離銅になっていないことを証明しています。
よく一般の消費者が抱かれる不安と誤解
私たちの健康を維持する上で金属を含む無機物質の存在は重要かつ必要なものです。しかしこれらの物質は摂取する量によっては、人体に有害となるものもあります。
サンクロンには銅クロロフィリンナトリウムが含まれるので、今回のように「銅を含むサンクロンは危険なのではないか?」という質問を受けるんですね。
これはおそらく、過去の銅製錬所の公害問題や緑青有毒説などと混同されているものと思われますが、公害問題は別として、緑青(塩基性炭酸銅CuCO3・Cu(OH)2を中心とした塩基性化合物)は無害であることが明らかになっています。
また生体内における銅のはたらきが理解されていないことも誤解の原因となっているようです。
サンクロンの効能
クロロフィルの効能
サンクロンの医薬品承認項目は次の5つ。
- 疲労回復… クロロフィルが体内で血液を浄化。
- 食欲不振… クマザサ特有のクロロフィルの殺菌作用で胃腸内の雑菌を除き、荒れた胃の粘膜を修復・保護をする。
- 体臭・口臭除去… サンクロンの服用でクロロフィルが体内に巡り防臭効果を発揮、これは銅クロロフィリンナトリウムが食品添加物として口臭対策のガムに許可されていることからもわかる。※便臭も少なくなるので、寝たきりの人に用いると、オムツ替え時の臭気対策にもなる。
- 口内炎… クロロフィルの粘膜保護と殺菌作用による。
- 歯槽膿漏… クロロフィルのはたらきで、歯周辺の殺菌が行われ、血液循環をよくして歯茎の細胞を強化。
銅クロロフィリンナトリウム
サンクロンの銅クロロフィリンナトリウムと合成の銅クロロフィリンナトリウムの違い
前者はクマザサの成分の原形質液とあいまって上のような効果が現れますが、後者ではそのような効果は発現しません。合成の銅クロロフィリンナトリウムを100mlに1g溶かしたときのpHは9.5〜11.0。
サンクロンの場合はクマザサ原形質液の緩衝性もあり、ヒトの血液と同じpH7.3〜7.4となります。天然成分と合成では大きな違いがあることが分かりますね。
サンクロンの場合は血液と同じpHの医薬品であるので、体内に吸収されやすくなっていると考えて良いのです。
またクロロフィルと原形質液は細胞の賦活作用もあり、サンクロンを傷口に塗布すると回復が早く、潰瘍の進行を防ぐはたらきが期待できますが、これについては国から認められたものではなく、使用者からの体験談が多く寄せられています。
銅クロロフィリンナトリウムの効能
体内で銅として単独でも働くことが出来ます。
銅はヘモグロビンの合成に不可欠であり、不足すると鉄の吸収量が低下して貧血となります。また、骨粗しょう症、高コレステロール血症への関与や、皮膚のたるみ防止、毛髪の生成に必要な金属として知られています。
更に体が疲れやすくなる、乱暴な行動をする、病気にかかりやすい、顔や皮膚が蒼白などの症状は銅不足が原因の一つとして挙げられています。
特に鉄吸収量の減少は鉄を細胞に取り込む際の還元に銅が必要であり、アドレナリンなどのカテコールアミン代謝酵素の構成要素としても重要です。
上述の通り、サンクロンに含まれている銅は、銅クロロフィリンナトリウムの形で存在し、必要に応じて金属銅(遊離銅)に変わりますが、このとき銅は生体内でカルシウムの吸収を助け、血液の鉄吸収量を上げるだけでなく、酸素の吸収量も高めるはたらきがあります。
植物のクロロフィルは、自然界の二酸化炭素を有機物に変える重要な働きをしていて、私たち動物は植物が生成してくれた有機物を摂取することで生命を維持しています。
繰り返しますが、自然界のクロロフィルは非常に不安定で分解しやすいことが特徴なので、人間を含む動物は新鮮な植物(野菜や果物など)を摂取する必要があるのです。
サンクロンはクロロフィルの分解が始まる前の新鮮なクマザサの生場のみを原料としています。(朝採ったクマザサの生葉をその日のうちに加工)
こうしてクロロフィルの核のマグネシウムを銅に置換させているので、安定化した銅クロロフィリンナトリウムを大量に含む医薬品が完成するんですね。
おわりに
「食品添加物」という単語にアレルギーを示される方も多いのですが、そもそも食品添加物とは年齢に関係なく摂取されるものなので、原則的には安全を担保されています。
銅クロロフィリンナトリウムは最も安全な食品添加物の一つですし、ましてやサンクロンは、すでに60年を超える歴史と使用経験のある「医薬品」で、副作用の報告もありません。
どうぞ安心してご愛用をお続けくださいませ。
※マグネシウムの銅置換はサンクロンの独自の特許製法であったため、後発他社はマグネシウムを銅ではなく鉄に置換した類似品を販売しています。(図2参照)
サンクロンについてはこちらもご一読ください
【隈笹原形質液】サンクロン(第3類医薬品)
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出典
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- サンクロンNEWS '08 冬季号
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