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2013.11.18メディア出演・掲載など

医薬品ネット販売の賛否は一旦さておき、現場ではたらく薬剤師が考える他愛もないけど重要な事

先日書いた戯言に意外なほど反響がありましたので、加筆・修正して正式な意見として公開します。

「規制推進派」のレッテルを貼られた薬剤師

薬剤師が注目を浴びています。理由は言うまでも無く、先日来ニュースでも取り上げられている医薬品のネット販売に関してです。ただ多くのメディアがこの問題を規制の推進派vs.反対派といった陳腐な構図に矮小化しており、規制推進派は日本薬剤師会やチェーンドラッグストア協会・厚労省など医療関連の業界団体で、規制反対派は楽天やケンコーコムなどネット・IT関連企業という事になっています。

しかし実態を調べてみると、2010年12月31日現在276,517名の薬剤師のうち日本薬剤師会に所属する薬剤師は約97,000名で、もし会員全員が同意見だったとしても薬剤師全体の約35%にしか過ぎません。当然、会の中でも意見の対立はあるでしょうし、無関心な層もいるはずです。

実際私の周りの薬剤師に話を聞くと、市販薬の小売りに関わっていない薬剤師たちは、そもそもこの問題に大した関心を持っていません。当然のことながら「薬剤師=規制推進派」というわけではなく、薬剤師全体が一枚岩という状態ではありません。(数字は厚労省HP、日本薬剤師会HP、Wikipediaより)

 

現場の話をしますよ

調剤薬局やドラッグストアなど、全国に薬局は約55,000軒もありますが、私が働くのはその中でもマイナーで、存在自体があまり知られていない「漢方薬局」です。そこではたらく薬剤師の生の声を私自身の経験を通して伝えたいと思います。

漢方薬局では様々な健康に関する相談をお客様より直接受け、それに対する根本的な解決策を提案・アドバイスすることが主な仕事となります。もちろんその名の通り漢方薬などを調合し、薬局製造販売医薬品として製造販売もしています。

 

漢方薬局ではたらく薬剤師の主な仕事

最初に行うのは問診です。主訴(悩みや不安)をはじめ過去の病歴、服用中の薬の有無、日々の食事内容や嗜好品、運動、その他血液検査の結果等も確認します。その上で、生活習慣に見直しの余地があればそこからアドバイスを始めて、機能性食品や漢方薬を主体とした食養生(出来るだけ薬を用いず、食べ物を活用した養生法)のプログラムを組み、内訳を説明します。

また稀にですが、服用中の薬に過剰な量や品目数の投薬を疑えば、減薬や排薬の主治医への希望を提案することもあります。こうしてお客様が理解・納得をされると商品を購入して頂きます。その後は経過観察をしながら、再面談をしたりリピーターになって頂ける場合もある、というのが主な仕事の流れです。調剤薬局やドラッグストアなど一般的な薬局とはかなり違うことがお分かりになるでしょう。

こういった手順ですから、相談依頼は予約を受けた上で行います。ただ、時には飛び込みで来局されたり、特定の症状や悩みではなく広範囲にあれこれと相談を受ける事も珍しくありません。しかもそれに対して事前の準備も無い状態で明瞭な答えを求められますので、毎日が待ったなしの真剣勝負の場となります。

いうなれば毎日が「抜き打ちテスト」のような状況ですから、中々に大変な仕事です。私が最も腐心するのは教科書通り習った知識や漢方薬の能書にある事柄を淡々と説明するのではなく、小難しい理論やメカニズムを噛み砕いて丁寧に伝えることです。

 

信頼関係を築けるかどうかはお客様が決める

間違いや誤解の無いよう一言一句、細心の注意を払って説明をしていても、上手な表現が出来ずに誤解を受けて、「商品を売りたいだけだろう」と、厳しい言葉を受けることもあります。ただ、自分で商品を選ぶドラッグストアや、医師が薬を処方する場合と違って、漢方薬局の店頭では常に「何かを売りつけられるんじゃないか?」、「勧められたモノで、本当に自分の症状が治るの?」と疑心暗鬼な方がいるのもやむを得ないことと心得ています。

漢方薬局で取り扱う商品のほとんどはお客様が口から摂取する物で、しかもその多くは保険が効かないので費用は全額自己負担となります。したがって、しっかりと理解・納得された上で購入し、養生を始めて頂かなければ「無責任な押し売り」になりかねません。

沢山の症例・事例に触れて成功と失敗とを繰り返しながら、それなりの経験を積んできた自負はありますが、今でも相談の際には毎回緊張します。店頭や電話、またはネットから……  どんな方法であれお声をかけて下さる方とのご縁に感謝し、一人一人のお客様に全力で症状改善のお手伝い(情報提供・提案)をします。

なので一日の仕事が全て終わる頃には、大声を出したわけでも無いのに声が枯れていることもよくあります。

 

「どこで買うのか」ではなくて「誰から買うのか」

2009年2月に厚労省が自ら発表したパブリックコメントの結果によれば、医薬品のネット販売規制に関して国民から寄せられた意見2,353件のうち97%が反対意見でした(ITmediaニュース)。

……  にも関わらず、これを押し切るようにして進められた一連の議論を振り返ると、どうも国民の健康や利益からかけ離れたやり取りがなされている感を否めません。出発点は本当に消費者のための議論だったのか。

今回の医薬品ネット販売については、『正規の医薬品を扱うに足るまともな業者(正式に開設許可を受けた薬局など)が行う販売業務ならば、対面・通販どちらでも構わない』というのが、私の考えるこの問題の答えです。

日本薬剤師会などの見解を読んでいると、インチキな業者が粗悪な偽医薬品や非合法のドラッグなどをネット通販している問題と混淆して、十把一絡げに医薬品のネット販売を規制しようとしているようにしか見えない。

フツーの人の感覚から大きくズレた議論になっていないか。これから行われる規制は果たして消費者のためになるのか。

ネットで買うか対面で買うかはあくまでもお客様が決める問題であって、個人的にははっきり言ってどうでも良いのですが、少なくとも「あの人に問い合わせれば安心だよ」と言ってもらえるような仕事がしたい。

重要な事は私たち薬局・薬剤師が国民に喜ばれるカタチで健康に寄与できるかどうかです。

 

漢方薬局ならではの情報は以下も参考にして下さい

 

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