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2015.06.01ブログで一問一答

夾雑物としての米黒酢・もろみ末の働きはサプリ的な価値観では計ることが出来ない

日頃からあまりにも当たり前のように扱っている商品について時々、基礎的な知識を復習・確認しておきたくなることがある。

先日も坂元のくろずや黒酢のもろみ末について、鹿児島黒酢の製造販売最大手・坂元醸造株式会社の学術担当者あてに上のような希望を伝えておいたところ、本社の長野正信専務から直々にお電話をいただき、みっちり40分ほど会談する機会を得たので、貴重な会話内容を議事録というか備忘録というか、自分のノートとして残しておく。

ろくに編集もせず書き連ねてあるので、読者の皆様には読み難い上にあまり面白くもない内容かも知れないが今回はご容赦いただきたい。

 

純米壺酢やもろみ原末を健康づくりに活用しようと考えた経緯

坂元醸造・現会長の坂元昭夫氏は、1800年頃(江戸時代後期)から綿々と続いている家業の黒酢製造・販売に1966年から携わるようになって以来、黒酢(壷の中で出来上がる上澄み)に対しての探求だけでなく、もろみ末(壺の底に沈んで残っている残渣)にも何かしら生理作用があるのではないかと模索を始めていた。
https://045310.com/kurozu-history/

その後1975年には、200年来伝統製法で造られてきた壺づくり米黒酢を坂元昭夫氏が「くろず(黒酢)と」命名して、一気に黒酢ブームが起こり全国的にその名前が知れ渡る。

坂元氏は自身の人脈を活かして母校である九州大学をはじめ、多くの研究施設と提携して黒酢の生理作用・薬理効果を実験で明らかにし始めていたが、1980年代から黒酢だけでなく、もろみ末についてもすでに研究を着手していて、しかも早い段階でそれが人の健康に対して良いはたらきがあることがわかっていた。

 

論文と同等か、またはそれ以上に価値のある「食経験」

ここで、米黒酢を発酵させ終わった際に壺の底に残っている「もろみ末=黒酢の粕」についてワンポイントレッスン。

1980年代以前は特に商品としての扱いをしておらず、単にくろずの残りで使い道も無く大半を廃棄していたが、その中の一部を家畜の近所の飼料として与えてみたところ、動物の健康状態が良好になったことが観察されてから、大学などで本格的な(動物だけでなくヒトにも投与した)実験に用いられた。

※坂元醸造の製品については例えばもろみ末については約40年間、黒酢に至っては約200年もの間の「食経験」があったことが研究を押し進めることが出来た原動力なっており、この「食経験」というのは多くの人びとが綿々と、経験的にその食材を安全に摂取してきたという歴史・実績なのだから、ある意味ではどんな論文よりも価値がある。
https://045310.com/papers_of_kurozu/

 

もろみ末を用いるための工程

健康食品・サプリメントとして諸味原末を用いるための工程を聞くと、非常に手が込んでいる事がわかる。

壷の底に沈んだ「酢もろみ」を濾過

熱風減圧乾燥(100℃)

粉砕(ここから先は坂元には設備が無いので、わざわざ群馬県にある工場へ配送して行う)

気流式殺菌(130℃)

このように徹底した処理をすることで検出される微生物をゼロとする。仮にサプリメントとして製品化するために他の合成・半合成の成分と混合しても微生物の影響による不都合が無い。

 

もろみ末が生理作用を示す本体は?

現在までに、生理作用を示す成分として挙げられている(解明されている)のは次の通り。

もろみ末(沈殿物)

  • 難溶性デキストリン
  • 食物繊維
  • β-グルカン
  • 不溶性成分
  • グルコプロテイン

坂元のくろず(上澄み)

  • 酢酸(血圧降下作用)
  • γ-アミノ酪酸(GABA:Gamma Amino Butyric Acid)(血圧降下作用)
  • ラクトトリペプチド(LTP:ACE阻害作用=血圧降下作用)
  • トリプトファン+酢酸で生成する、「坂元が特許を取得しているある成分:MTCA」(血糖降下作用)

この他にも赤血球変形能改善作用や抗アレルギー作用、脂質代謝改善作用も認められてはいるが、それぞれに直接関与している成分の同定には至っていない。

これは黒酢およびもろみ末の生理活性の本体が単一成分ではないことを示している。

このことは、今年2015年4月から施行された「機能性表示食品」にあえて黒酢を自薦しなかった理由の一つだったと長野専務は仰っていた。

一物質一機能の考え方で設定する「機能性表示」は、もしかすると一般的なサプリメントの類には良いかもしれないが、例えば「黒酢は血圧を下げる食品である」といったレッテルを貼り、自らの可能性を制限するおそれがあるのならばあえてこれを避ける。

「複合成分の夾雑物」として交差的な働きを示していて、もしかすると体内に入ってから代謝などを受けて変化した後の何かしらの成分がはたらいている可能性まで考慮すれば、この答えを追求することは困難でありながらも非常にロマンティックであるとの由。

※私自身も「機能性表示食品」はサプリメントだけでなく野菜などの一般食品までをもまるで医薬品と混同しそうな誤解を消費者にさせるおそれがあるので、「トクホ(特定保健用食品)」と並んであまり歓迎していない。

 

しかし「GIマーク」はしっかり取得

また一方、本日2015年6月1日から農水省主導の特産品の地理的表示(GIマーク)制度が施行された。

坂元のくろずを筆頭とする「鹿児島黒酢」や「鳥取砂丘らっきょう」がこの制度の対象として報道されており、これらはどちらも当薬局のお客様に、以前から積極的に推奨していたものなので、消費者が市場に蔓延っている模倣品との差別をする際に役立つものと期待しているところである。
https://045310.com/geographical-indication/

 

その他、こちらの記事も参考にしてください

 

また漢方薬については

また上記以外にも沢山の処方があり、同一人物でもその時その時で用いる方剤(薬)が違うことがありますので、自己判断をせずに漢方相談専門の薬局・薬剤師に相談しましょう。

ここもご一読ください。

 

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