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2016.01.21ブログで一問一答

耳鳴りに漢方薬を用いる際、見落としがちな基礎疾患あれこれ

この「ブログで一問一答」カテゴリは、読者の皆様からご応募いただいた質問内容に山浦卓がサクサクと回答していく企画です。

Q. 耳鳴りに八味地黄丸を飲んでいますが、効きません

耳鳴りに良いと聞き、ドラッグストアで八味地黄丸を購入して飲んでいますが効きません。なぜでしょうか?

H.D.さん(60代・男性)

A.

H.D.さん、ブログで一問一答にご応募くださり、ありがとうございます。

漢方薬の合う合わないは、各人の個体差や用いるタイミングなどによって全く異なります。また、どれくらいの期間服用されたのかも不明なので、ちょっと回答もボヤケてしまいますがご容赦くださいね。

そもそもH.D.さんの体質に八味地黄丸が合っていないのか、それとも他の理由で効かないのかは、今回のご質問内容だけでは判断しかねます。

ただ、耳鳴りはその発症するメカニズムが解明されておらず、病医院での治療目標はその基礎疾患にむけられる事が多い疾患であることを知っておきましょう。

根本的なアプローチが難しいので、基礎疾患の改善につられて耳鳴りも症状が和らぐことを期待しているのです。

漢方薬も「耳鳴りの薬」という捉え方ではなく、後述するようにその人の体質などの背景を総体的に見渡して決めていくのが常套手段です。

こちらもご一読ください ⇒ その選択で大丈夫?薬のプロが教える、後悔しない漢方薬・サプリの選び方。

耳鳴りは医者泣かせ

ある耳鼻科医に話を聞く機会があり尋ねると、中耳炎や外耳炎、耳垢、メニエール病といった、耳鳴りの原因となり得る基礎疾患が見当たらない場合も多く、あまり積極的に引き受けたい主訴ではない、と言ってました。

その理由の一つとしては、耳鳴りという現象がほぼ患者の主観であり、客観的な評価をすることが非常に難しいことが挙げられます。したがって患者ごとに耳鳴りに耐えられる程度がバラバラなんですね。

また音の表現も、ジージー、キーン、ゴーー、シューー、ビュービューなど独特で、しかも耳鳴りが聞こえる時々によって変化することもある、など訴えが多様化し過ぎると医師はますます対応に苦慮するでしょう。

たしかに、私たちのような漢方薬局に来る方々の多くは、病院で完治せず医師からさじを投げられたようなパターンばかりですし。

「耳鳴り」の原因となりうる基礎疾患

耳鳴りは様々な原因で起こり、明らかな耳鼻科領域の疾患が基礎になっている場合ばかりではなく、少し挙げてみても… 、

  • 中耳炎
  • 外耳炎
  • 耳垢
  • 鼓膜炎
  • 髄膜炎
  • メニエール病
  • 梅毒
  • 動脈硬化
  • 高血圧
  • 低血圧
  • 動脈瘤
  • 心臓病
  • 血流障害
  • 微小循環障害
  • 貧血
  • 甲状腺機能低下
  • 腎臓病
  • 更年期障害
  • ヒステリー
  • 過度のストレス
  • 老人性難聴
  • ある種の医薬品の副作用
  • その他

… と、まだまだ沢山あって書ききれません。

また随伴症状として圧倒的に多いのは眩暈と難聴(突発性含む)。

「耳鳴り」に用いる頻度の高い漢方薬

漢方薬を選ぶ際の基準はやはりその方の体質や体調、表情、顔色、姿勢などを総合的にみて判断します。

下に、当薬局で実際に「耳鳴り」に用いる事が多い漢方薬などを随伴症状とともに挙げておきます。

  1. 八味地黄丸(ハチミジオウガン)… 腎虚の人、比較的高齢の人、語勢のない人。
  2. 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)… 貧血、むくみ、腹痛、尿量減少、月経不順、出血、動悸。
  3. 薤白ガイハク=ラッキョウ)… 心臓疾患(不整脈、心不全など)、血流障害、微小循環傷害、更年期障害。
  4. 苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)… 眩暈、(慢性的な)中耳炎、下肢の冷え、顔面紅潮、筋の抽搐(痙攣)。
  5. 瓊玉膏(ケイギョクコウ)… 冷え、生理不順、不妊、虚弱体質、病中病後の体力低下、発育不良、填精補髄。
  6. 小柴胡湯合香蘇散(ショウサイコトウゴウコウソサン)… 耳管炎、頭重、胃腸虚弱。
  7. 十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)… 眩暈、動悸、衰弱、食欲不振。
  8. 牛黄清心元(ゴオウセイシンガン)… 耳鳴り、眩暈、動悸、手足のしびれ、肩こり、のぼせ、頭重。
  9. 柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)… 動悸、胸脇苦満(胸脇部の膨満感、胸苦しさ)、イライラ、不眠、不安。

※使用頻度の高い順ではありません。
※個々の体質や状態によって薬の選択や用法用量を決めていきます。
※2種類の方剤を合わせて用いる場合もあります(合方)。

上記以外にも沢山の処方があり、同一人物でもその時その時で用いる方剤(薬)が違うことがありますので、自己判断をせずに漢方相談専門の薬局・薬剤師に相談しましょう。

ここもご一読ください  

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